総長は、甘くて危険な吸血鬼



『ほんと!大丈夫だから!』

「…じゃあせめて叶兎には連絡──」

『ま、待って、叶兎くんには言わないで…!』


飛鳥馬くんが携帯を取り出した瞬間、咄嗟に手を伸ばした。

叶兎くん、昨日も忙しそうにしてたし、今日もきっと生徒会の仕事で忙しいだろう。昨日は携帯の件も雷の件も助けて貰っちゃったし、変な心配かけたくない。

心音ちゃんだって、クラスの子だって頑張って準備してるんだもん、ちょっとくらい体調悪くたって平気だよ。


「…えー、めんどくさ。女心って分かんないわ」


飛鳥馬くんが小さく呟く。
その声と同時に、倉庫の入り口から桐葉くんが姿を現した。


「羽雨、さっきの音の原因分かったか?」

「胡桃が倒れかけてそのままダンボールにぶつかって崩れたっぽいよ」

「胡桃が?」


桐葉くん、私が体調悪いの知ったら絶対叶兎くんに連絡する気がする、バレる前にさっさとこの場を去ろう…

そそくさとダンボールとテープを抱えて出口へ向かおうとしたけど、飛鳥馬くんに後ろから肩を掴まれた。


「多分、熱あるよ」


飛鳥馬くん………!!隠す気ないな君……………!!


「熱?」


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