総長は、甘くて危険な吸血鬼



『だ、大丈夫だから、気にしな…』


そう言いかけた瞬間、桐葉くんがゆっくりと近づいてきて私の額に手を伸ばした。

そっと前髪を避けると、自分のおでこを私のおでこにくっつけてくる。

桐葉くんのしているメガネの縁が少しだけ当たってくすぐったい。

ち…近!
桐葉くん、近い…!

私に熱があるかを確認してるだけだと思うんだけど、顔と顔との距離が近すぎて、むしろ余計に熱が上がった気がする。


「…熱い、確かに熱があるな。ひとまず保健室に行って休んだ方がいい。」

『……………はい…』


声は穏やかなのに断れない圧に押し負けて、保健室には行きたくなかったけど渋々受け入れるしかなかった。


『…じゃ、じゃあ、保健室は行くから!この材料だけ教室に届けてきていい?』

「いいけどお前、フラフラじゃないか?それなら俺達が…」


──ブーッ


「うわ、俺と凪、至急集合だって。どうする?」


桐葉くんは私の持っていた荷物を取ろうと手を伸ばしたその時、飛鳥馬くんが通知の音のした携帯の画面を見てそう言った。


「あー…、仕方ない。胡桃、それ教室に持って行ったら絶対保健室行けよ?」

『うん、ちゃんと行くよ』


その後飛鳥馬くんと桐葉くんは生徒会関連の呼び出しで、私を倉庫の前まで送った後2人は走ってどこかに向かって行った。


『大丈夫って言ったけど……結構きついかも、これ…』



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