総長は、甘くて危険な吸血鬼


『…!!』

「まだ結構熱いね。しんどくない?」



叶兎くんの指先がいきなり頬に触れて、ひやりとした感触にびくっと肩が震える。

でも、その冷たさが火照った頬には気持ちよくて、思わずその手首を掴んでしまった。



「え、どうしたの」


『手…冷たくて気持ちいい』



頬に触れた叶兎くんの手のひらにすり、と頬を擦り寄せる。

自分でも自分の行動が信じられないけど、全部熱のせいって事にしておこう。



「…………ちょっと、あんまり可愛い事しないでよ。熱ある人襲うわけにはいかないんだから…」



珍しくしどろもどろな叶兎くんの顔を見たら、頬がほんのり赤くなっていた。
いつもは余裕たっぷりに揶揄ってくるのに。


『叶兎くんてば顔赤い』


叶兎くんの照れポイントがよく分からないけど
レアな叶兎くんの姿を見た気がするのでつい口に出してしまった。



「調子に乗るな」



そしたら頬を片手でむぎゅっと掴まれて、そのまま、ちゅ、と軽くキスされた。

< 157 / 405 >

この作品をシェア

pagetop