総長は、甘くて危険な吸血鬼
『……熱ある人襲う訳にはいかないって言わなかった?』
「胡桃が煽るからでしょ」
『煽ってないもん』
「…そういうとこだから。じゃあ正当な理由があったらキスしていいの?」
正当な理由?
キスに正当な理由もなにもないと思うんだけど……
そしたら叶兎くんが横のテーブルの上で何やらゴソゴソと袋をいじり始めて、
「口開けて」
そう言った叶兎くんは、ペットボトルに口をつけて1口水を飲んだ。
???
いまいち状況を理解してない私は言われた通りに口を開けると、叶兎くんがそのまま唇を合わせてきて、口の中に水が流れ込んでくる。
『んっ……ん!』
一瞬パニックになり、胸板を軽く叩くも、腕を軽く押さえられて抵抗できない。
水と一緒に、何かを飲み込んだ気がする。
その後も中々離してくれなくて息が上がりそうになり、目を開けると至近距離で叶兎くんと視線が合った。
細めた目でキスを続けながら、優しく頭を撫でてくる。
私だけが、叶兎くんのこういう色んな表情を見れるって思うと、何だか嬉しい。