総長は、甘くて危険な吸血鬼
叶兎くん、
「胡桃がコスプレしないなら俺はやらない。」の一点張りで、
私は全力拒否したけどみんな叶兎くんのコスプレは見たいわけで、人数の圧には勝てなかった…。これで私が拒否した時の女の子達の目よ。超怖い。
……まあ私も叶兎くんのコスプレはちょっと興味あったけどさ。
なんて事を考えていたら無言で叶兎くんが近づいてきた。
何故か叶兎くんは着ていたマントを脱いで、
「…これ着て」
ふわっと、私の肩にマントを羽織らせた。
『え、なんで?』
状況をよく理解できていない私はそう問い返すと、
「可愛すぎるから」
さっきは逸らされた視線をまっすぐ私に向けてそう答えた。
可愛っ……!?
え、あ、そういう…?!
さっきの目逸らしで不安だった気持ちは、今この言葉で一気に溶けてしまった。
『あ…えっと……その、叶兎くんも、かっこいいよ』
周囲にはクラスメイトもいるので平然を装うけれど、心臓はバクバクしている。
前のように陰口や嫌がらせはなくなったものの、やはり応援してくれる目と緊張させる視線は同時に感じた。