総長は、甘くて危険な吸血鬼


「心音!もう廊下お客さん並んでるよ〜!」

「え、もう!?胡桃、私受付の方行ってくるから中の接客お願い!」


気づけば教室の外には長蛇の列。まだ文化祭は始まったばかりなのに、すでに熱気と歓声が入り混じっていた。瑠奈ちゃんに呼ばれた心音ちゃんは、急いで受付まで走って行く。


『う、うん!分かった!』


続々と教室にお客さんがやってきて、文化祭は始まったばかりだと言うのに大混雑していた。

どうしてこんなに混んでいるのか、理由は考えなくても明確だ。


「きゃ〜!」
「赤羽くんと月城くんかっこいい〜!」


オープンするやいなや叶兎くんと春流くんはずっと大勢の人たちに囲まれていて、叶兎くんに関してはただでさえ女子が苦手なので何とも言えない複雑そうな表情をしている。

さっきまでは高嶺の花って感じで人だかりなかったのに、1人が駆け寄ったらそれに続くように一気に人が増えた。

生徒会長と副会長のコスプレだもんね、そりゃみんな見にくるよね。

それでも、いつもみたいに文句を言ったり冷たい言葉を言わない叶兎くん。

…文化祭の雰囲気を壊さないように我慢してくれてるのかな


叶兎くんはかっこいいしみんなに慕われてるのは嬉しいけど、あんなに沢山の女の子にキャーキャー言われてるの見るとちょっと複雑…


「血吸われたーい!!」


なんて言ってる子を見ると、絶対そんなことしないってわかってても叶兎くんは私のなのに…なんて思ってしまう。


…もしかしてこれが、“独占欲”?



「わお。叶兎と春流、大人気だねー」



お客さんを接客しつつ間で1人そんな事を考えていたら、横からひょこっと聞き覚えのある声がした。

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