総長は、甘くて危険な吸血鬼


「へぇ、あいつら結構似合ってるじゃないか」


振り返ると、天音くんと桐葉くんが来ていた。

この2人一緒に文化祭回ってるの…?!と思ったけど


「言っておくが仕事だ。こいつと回ってるわけじゃないからな」


聞く前に桐葉くんに否定された。

生徒会メンバーは午前と午後の仕事をシフトで分けているらしく、午前の担当らしい。春流くんと叶兎くんは今教室にいるから2人は午後仕事ってことかな。


「凪なんかそれ酷くない?!」

「だってお前と一緒にいると…」


桐葉くんが言いかけたその言葉は、後ろから割り込んできた女の子たちによって遮られた。


「あの、栗栖くん…だよね?」
「え!栗栖くん来てるの!」
「桐葉くんもいるよ!2人が一緒なんてレア!」


天音くんは生徒会メンバーの中でも1番フレンドリー…というか正直な言葉で言うならチャラいので女の子とも割と仲良くしてるし囲まれる光景は日常茶飯事のようだった。


「ほら見ろ、こうなる」


一方の桐葉くんは、「囲まれるのは苦手」と言いつつ、控えめに距離を取りながらも、目の端で様子を見ている。
私も少し意外に思ったけれど、その冷静さと落ち着きが、逆に頼もしく見えた。


『桐葉くん、もう行くの?天音くんまだ囲まれてるけど…』

「あそこにいると俺まで囲まれるからな。仕事内容は各企画場所の安全点検だしここでもできる」

< 167 / 405 >

この作品をシェア

pagetop