総長は、甘くて危険な吸血鬼
叶兎くんが女の子に囲まれるの嫌いなのはすぐ分かったけど桐葉くんもこういうのあんまり好きじゃないのは知らなかった。みんな慣れてるものなのかと。
「丁度いいからこれ、書いてもらっていいか?」
『あ、うん、チェックつければいいんだよね?』
桐葉くんからプリントを一枚渡されて、記入が必要な項目に記入していった。企画の簡単な安全確認の項目だ。
「ところで、お前のそれは何のコスプレなんだ?」
『えっ…!と、メイドかな?』
いきなりそんなことを聞いてくるものだから動揺でペンを落としそうになった。
私のコスプレ自体はメイドだが、
叶兎くんに羽織らされたマントがあるせいで謎のコスプレになっている。
「そういえばそのマントさっき叶兎も着てたような…ってあー、そういうことか」
マント、間違えて二着仕入れてたらしく、私にマントを渡した後に叶兎くんも私と同じものを身につけていた。
桐葉くんは頭の回転が早いので多分どういう経緯でこうなったのかは全部見抜かれてる気がする…
「あの女嫌いの叶兎がお前にここまでベタ惚れとは、意外だな」
自分で言うのは恥ずかしいので心の中に留めているけど、私も思ったことはある。叶兎くんはあれだけ女嫌いなのに、まっすぐ気持ちを伝えてくれるから、意外だった。
「まぁこんな可愛い彼女いたら隠したくもなるか」
『…も、もう桐葉くんまで揶揄わないでよ』
桐葉くんが珍しいこと言うから、少し調子が狂いそうになる。
この前熱測る時も躊躇いなくおでこくっつけてきたし、こういうのに深い意味はないんだろうけどさ。女の子に囲まれるのは苦手、と言いながらも割と慣れているようにも見えた。