総長は、甘くて危険な吸血鬼


「ちょ、彼氏超イケメンじゃん」
「これは勝ち目ないって…」


後ろにいた2人の男の子達が小声で呟くのが聞こえた。

うんうん、叶兎くん超イケメンだよね、わかる。

ってそうじゃなくて…!


「じゃあ、写真だけでも──」

「ダメだよ」


叶兎くんの声音に圧倒されて、彼らはすぐさま「し、失礼しました!」と駆け足で去って行った。


『ありがとう、私ああいうの慣れてなくて……。叶兎くん?』


礼を言おうと顔を向けた瞬間、叶兎くんの腕がするりと動いた。

肩を抱いていた手が、腰に回り…そのままぎゅっと、後ろから抱きしめられる。


『ちょっ…!ここ廊下だよ…?!』


ここは廊下なので通りすがりの生徒に丸見えだし、そもそも叶兎くんは立ってるだけで注目を集めるのに。

なのに、そんなことお構いなしに抱き寄せてくる。


「やっぱコスプレさせなきゃよかった、可愛さがバレる」


叶兎くんてば、またそういう事を…


というか私は最初からコスプレなんてするつもりなかったけどやれって言ったの叶兎くんなのに、矛盾している。

知らない人にさっきみたいに声をかけられるのは嫌だけど、叶兎くんに可愛いって思ってもらえるならコスプレも悪くないかも、って少しだけ思った。

…好きな人には、1番可愛い自分を見て欲しいし

……って、何だかんだ私も叶兎くんにベタ惚れだな

< 171 / 405 >

この作品をシェア

pagetop