総長は、甘くて危険な吸血鬼
「うざいんだよ、お前。…ねぇ、くーちゃん。ホントに僕の誘い断るの?」
「てめぇの狙いは分かってんだよ朔、胡桃は絶対渡さない」
バッと、叶兎くんの腕が伸びた。
私の腰を引き寄せ、そのまま正面から抱き込まれる。
次の瞬間、バサリとマントを取り払われた。
…ちょ、叶兎くん!?自分で着せてくれたのに、何で今取るの…!?
視線の先にいた春流くんに助けを求めても、「諦めろ」と目で返される。
『叶…兎く、ちょ、こんなとこで…っ』
抗議の言葉も虚しく、叶兎くんは何も答えず
私の首元に、ちゅ、と軽く口づけを落とすと、
そのままそこにがぶ、と噛みついた。
「キャ〜!」
「あの、赤羽くんが血を…!」
「しかも人前で…」
クラス中がざわめいて、女子たちの黄色い悲鳴が響き渡った。
ま、待ってホントに待って
私今どんな顔してる?絶対変になってる、
みんながこっちを見てる、みんなに見られたくない
叶兎くんに血を吸われるといつも体が熱くなってどうにかなりそうになる。
体が熱に浮かされて、力が抜けて、
立っているのもやっとだった。