総長は、甘くて危険な吸血鬼
「やっと気づいたの?」
「……!」
「長い事会ってなかったとはいえこの程度も見破れないなんて、案外チョロいんだね君」
朔は自分の頭に手をやり、くしゃりと乱暴に撫でる。
すると、金髪だったはずの髪がずるりと剥がれ落ち、下から茶髪が現れた。
見間違えるはずがない。
そこにいるのは、間違いなく幼馴染の“天羽 朔”だった。
「…お前何でこんなふうになったんだよ。昔のBSは今ほど荒れてなかっただろ」
「別に理由なんてないよ?ただ、強くなりたい。それだけ」
朔と叶兎くんは…知り合い…?
相手が朔と分かってから、叶兎くんは少し落ち着きを取り戻したように見える
「お前は間違ってる」
「…黙れ」
「最近の荒れ具合おかしいだろ!何のために俺たちが──」
「黙れよ!!」
低く噛みつくような声。
怒鳴り声とともに、朔の顔から余裕が消えた。
さっきまで笑っていた朔が、感情を剥き出しにして叶兎くんを睨みつけている。