総長は、甘くて危険な吸血鬼
結局私は流風くんに半強制的にお化け屋敷に連れていかれ、案の定追いかけられるわでかい音で脅かされるわで心臓はバクバク。でも流風くんは終始ずっと笑ってた気がする。
「ははっ、怖すぎだろこのクラス!」
『も…何でそんな笑顔なの…!』
めちゃくちゃお化けに追いかけられて走ったので若干息切れしながら出口で言った。
「いや、なんか怖がってる胡桃ちゃん見てたらむしろ楽しくなってきたみたいな」
『ひどい!流風くんの鬼!』
「うそうそ、普通に楽しかっただけだよ」
『絶対嘘じゃないよね?』
…まぁ、一緒にわーわー騒ぎながら逃げ回るのちょっと楽しかったけど。
「でも流石に疲れたね、何か屋台で食べ物とか買って休憩する?」
『うん!』
「凛も屋台の近くにいるってメール来てたから丁度良いかも、先に合流しに行こ」
あれ、今叶兎くんいた…?
外の方へ歩き出した流風くんについていこうとした時、一瞬叶兎くんの姿が見えた気がした。
気のせいかな?
…どっちにしろ仕事中だろうから邪魔しちゃ悪いし、声かけるのは迷惑かも。
私と流風くんはそのまま中庭の方に出て、屋台の側の階段に座る妹の凛ちゃんの姿を見つけたのでそこへ向かった。