総長は、甘くて危険な吸血鬼


牙でつけた傷口から垂れてくる血を、そのまま啜る叶兎くん。

……あの、これはこれで恥ずかしいんだけど?!

指先にずっと触れている柔らかい唇。血を吸うというより舐められている感覚に近くて…


「目の前に身内いても遠慮ないなあいつ…」
「何か、見ちゃいけないもの見てる気分だわ」


しかも流風くん達が目の前にいるという状況

でもみんなは平然としてるあたり、吸血鬼的には日常風景なのかもしれない。

とは言え人間の私には刺激強すぎるんですけど……!


『っ…!』


今、一瞬……強く噛もうとした?

普段の甘噛みとは違う、何かを堪えるみたいな仕草。

……吸われる場所が指だから? 


『…叶兎くん?』

「…あ、悪い…何か、ぼーっとして…」

『え、具合悪い?!保健室行った方が…』

「大丈夫、すぐ治ったから」


“すぐ治った”って……ほんとかな。

私が熱出した時はあんなに怒ったくせに、自分のこととなると急にいい加減なんだから。

< 209 / 405 >

この作品をシェア

pagetop