総長は、甘くて危険な吸血鬼


「心配してくれてありがと。……でもほんと平気。っ、俺そろそろ仕事戻るね」

『あ、うん…』


そう言って、叶兎くんは急ぐ用にその場から立ち去ってしまった。

…でも、やっぱり様子が少しおかしい気がした

無理にでも引き止めればよかったかも。


「体調悪い時くらい生徒会長の仕事休めば良いのに」

「お兄ちゃん、いつも無理して何でもやろうとする癖あるから…」


文化祭期間の叶兎くんは特に忙しそうだったし疲れが溜まってるんじゃないかな…


「あれは…もしかして…」

『九条くん?』

「…いや、何でもねぇ。ただの憶測だ」


そう言って難しい顔をしたまま、九条くんも叶兎くんの後を追っていった。

ただの憶測…九条くん、もしかして何か知ってるのかな、
まぁでも本人は平気って言ってたしこれ以上気にしても仕方ないか。

結局その後は、流風くんと凛ちゃんと一緒にいろんなクラスを回って文化祭を満喫した。
こんなに学校中を歩き回ったの、入学して初めてかもしれない。



「片付けとか明日の準備とかしてたら結構遅くなっちゃったな…もうみんな寮に帰ってるかな?」


文化祭一日目が終わった後、クラスで雑用を手伝っていたら気づけば窓の外はすっかり暗くなっていて。時計の針は20時を回っていた。

生徒会のみんなはそれぞれ別の仕事に行ってしまったから、叶兎くんも春流くんも教室にはいない。文化祭一日目が終わった後、クラスで雑用を手伝っていたら、気づけば窓の外はすっかり暗くなっていて。時計の針は二十時を回っていた。
生徒会のみんなはそれぞれ別の仕事に行ってしまったから、叶兎くんも春流くんも教室にはいない。


寮に戻るためエレベーターが降りてくるのを待っていると、
開いた扉の向こうから、見慣れた顔が現れた。

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