総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ

【叶兎side】


さっき、気づいたら胡桃の血を吸っていて。

自分の感情を抑えられなかった。

…胡桃の嫌がることは絶対にしないと決めていたのに。


秋斗に無理矢理胡桃から引き剥がされて、やっと止まることが出来たけど、胡桃の方を見たら…

乱れた髪に半分ほど開いたパーカー。
首筋に深く残る傷と、滴る血。

そして、俺を見た時の怯えの色を宿した表情。


秋斗が止めてくれなかったら…
俺は取り返しのつかない事をしてたかもしれない



「……なぁ叶兎、最近胡桃の血しか飲んでないだろ」


唐突な秋斗の問いかけに、俺は眉をひそめた。

何の話だ…?

確かに胡桃の血をもらうようになってからは、血の補給のためのカプセルや輸血パックは使わなくなったけど…


「多分、胡桃の血に依存してんだよ」

「…は?」

「吸血鬼は1人の血だけを吸い続けるとその血に依存するようになる、まさかとは思ったが…本当に知らねぇのか?」


知らない。そんな話、一度も聞かされていない。

俺は今まで吸血なんてしてこなかったから、そもそもそういう知識に関心を持ったことがなかった。


「だから、もし相手が限られてる時は必ず対策を取る。定期的に他人の血を吸うか、カプセルで補うか。そうしないと……自分の理性じゃ、歯止めが効かなくなる」

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