【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



ついてこいって言われて素直について行く人なんていないだろう

叶兎くんにもBSには気をつけろって言われたし、私だってそんな危険なとこに行きたい訳が無い 。



「何だその目は、抵抗すんのか?いいぜ、あんたがその気なら。」



男は余裕たっぷりに、ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべた。


抵抗したところで、女の子の私一人じゃどうにもならない相手であることくらい痛いほど分かっている。


…でも、このまま大人しく連れて行かれるのも嫌だ。



「ボスの命令は、“朝宮胡桃を、傷つけずにアジトへ連れかえることだ。この意味が分かるか?あんたが抵抗したら、周りがどうなるか」



何…それ。

…つまり、私には危害は加えないけど、代わりに他の人に危害を加えるってこと…?


…そんなの、卑怯だ。



「胡桃、…?」



私の後ろにいた瑠奈ちゃんが、怯えた様子で不安そうに私の肩をトンっと叩いた。


周りのクラスメイトたちも、助けを求めるような、けれど巻き込まないでほしいという怯えた瞳で私を見つめている。



『…分かった、行くから、他の人には手を出さないで』

「良いだろう。物分かりが良くて助かるぜ。ついてこい」



脅しなんかじゃない。この人たちは本気だ。

もし私がここで少しでも抵抗すれば、本当に瑠奈ちゃんや心音ちゃんたちに容赦なく手を出すだろう。


BSの男たちが満足そうに廊下へ出ようとし、私が覚悟を決めてその背中について行こうとした──その時。


どかっ!! と凄まじい衝撃音が響き、私の目の前にいた男が横から強烈な蹴りを食らった。



「ぐはっ…!」



勢い余った男の身体が壁に叩きつけられ、派手な音を立てて崩れ落ちる。



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