【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ


「胡桃ちゃん!」
「無事か…?!」



痛みに悶絶する男の向こう側、視界に飛び込んできたのは桐葉くんと春流くんの姿だった。

二人は入口に群がっていた男たちをあっという間に蹴散らし、迷いのない足取りで私のもとへ駆け寄ってきてくれる。



『二人とも……来てくれたんだ、ありがとう……っ!』

「当たり前だろ、友達なんだから」



桐葉くんの口からそんな優しい言葉が出てくるとは思っていなかったので、胸がぎゅっと温かくなった。



「胡桃、下がって。」



二人が来てくれたことで完全に安心しきっていた私だけど、さすがのBSもこのまま引く気はないらしい。

倒れた男を庇うように立ち塞がった残りの男たちに対し、春流くんが私の前にスッと立ち、覆うように背中で庇ってくれた。



「胡桃ちゃんを連れて行くなら、俺らを倒してからにしな」



普段は優しい姿ばかり見ているから、White Lillyとして敵と対峙する姿はすごく新鮮で。

さっきまで教室の隅で小さくなって怯えていた女子生徒たちも、目の前に現れたヒーローのような春流くんと桐葉くんの格好良さに、思わず「きゃーっ!」と歓声を上げている。



……だけど、相手は人数が多い上に、ここは狭い教室の中だ。

周囲には一般の生徒たちもたくさんいる。



いくら二人が圧倒的に強くても、周りを庇いながらでは万全の態勢で戦えるはずがない。



…もし、相手の目的が私一人なら……二人が戦って目を引いてくれているスキに、逃げた方がいいんじゃ……?


そう頭をよぎったけど、あいにく教室の出入り口はどちらもBSの残党によって完全に塞がれていた。

逃げようにも、逃げ道が存在しない。




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