総長は、甘くて危険な吸血鬼
「胡桃ちゃん!」
「無事か…?!」
視界に飛び込んできたのは桐葉くんと春流くん。
入口の連中を蹴散らして、迷いなく駆け寄ってきてくれる。
『2人とも…来てくれたんだ、ありがとう』
「当たり前だろ、友達なんだから」
桐葉くんからそういう言葉が出るとは思ってなかったので少し驚いた。
この前転校してきていきなり同じ寮で生活し始めた私の事をこんなすごい人たちが友達って言ってくれて、色々あったけどなんだかんだ恵まれてるなぁ…って思う
「胡桃、下がって。」
2人が来てくれたことで安心しきっていたけど、相手はまだ折れていなかったらしい。
そして春流くんが私の前に庇うように立ちふさがる。
「胡桃ちゃんを連れて行くなら、俺らを倒してからにしな」
かっこよ
って今素で思ってしまった。
普段は生徒会の仕事をしてる姿ばっかり見てるから、WhiteLilyとしての姿は新鮮だ。
さっきまで隅っこで小さくなって怯えていた女子たちも春流くんと桐葉くんのかっこいい姿を見てわーわーと騒いでいる。
…でも、相手は数も多いし教室の中は狭い。周囲に人もいる。
二人が強くても、万全では戦えなかった。
…私が目当てなら、私この隙に逃げた方がいいのでは?
そう思ったけど、教室の出口は相手に塞がれている。