【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ





しばしの沈黙後、その静寂を破ったのは、低く響く叶兎くんの声だった。

申し訳なさそうで、でも確かな重みのある声。



「……この話、みんなにも黙っててごめん。後継者候補ってことは、秘密事項だったから……」



視線は床に落ちている。けれどその背中から滲み出る責任感が、静かに伝わってくる。



「まさか……叶兎が次期トップだったなんて……」



桐葉くんがぽつりと呟く。

声には驚きと、少しの尊敬が混ざっていた。



「何か……色々納得」



天音くんは腕を組み、遠くを見つめたまま頷く。

私だけでなく、皆も初めて知ったことらしい。



「ひとまず、おめでとう!」



春流くんが笑顔を見せると、九条くんも静かに頷いた。



「だな。叶兎がトップなら安心だ」



みんなの声に、少し胸の奥が落ち着く。

不安や驚きの余韻が少しずつ溶けていくのを感じた。



「そうだね……というか、僕たち一回席外そうか?」

「確かに。胡桃も知らなかったんだろうし、二人で話すといい」



飛鳥馬くんの提案に桐葉くんも頷き、皆んなの視線が私に集まる。



私は小さく頷いた。

みんな、気を利かせてくれたんだよね…。


皆はそっと立ち上がり、病室を出ると静かに扉を閉めた。

扉の向こうで足音が遠ざかっていく。



残されたのは、私と叶兎くんだけ。



賑やかだった病室が急にしんと静まり返った。

時計の針の音が、やけに大きく響く。


その一つひとつの音に、心臓の鼓動が呼応するようで、胸の奥がざわついた。



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