総長は、甘くて危険な吸血鬼


吸血鬼…

噂で聞いた事はある。
この世界には、吸血鬼が存在する、と。


優れた力と頭脳を持ち、多くがエリートと呼ばれる希少な存在。


今まで田舎に住んでたのもあって実際に会ったことはなかったけど、ホントに存在するんだ…



「その様子だと、学園(うち)の事も全く知らないみたいだな。」


『すみません、なんせ急に転校が決まったので…』



私だって転校したくてした訳じゃない、
親の仕事の都合で急に決まって、仕方なく。

というか、転校なんてしたくなかった。

だって今高3だよ…?!
こんな時期に転校なんてしたら、すでに出来上がっている人間関係に入れないのは目に見えているのに。


「そんなお前に、一つ忠告」


輸血パックで血を飲んでいた赤羽くんが、スタッと立ち上がった


何故かどんどん近づいいてくると思えば、赤羽くんの顔が私の真横に。


え、何…?



「生徒会室には近づくな」



低く、耳元で落とされた声に、息が詰まる。

さっきまでとはまるで違う音色。
背筋を撫でるようなその響きに、本能的に悟った。

――この人を怒らせてはいけない、と。

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