総長は、甘くて危険な吸血鬼
「それに関しては俺からも言っておく、平和に過ごしたければ生徒会室には近づかないことだな」
桐葉くんが赤羽くんの肩をぐいと引き、私から遠ざける。
眼鏡越しの静かな眼差し、高身長で整ったその姿は一見優等生のようなのに、纏う気配はただならぬものだった。
生徒会室に近づくな、か。
もともと私なんかが生徒会に用事を持つはずもないけれど、こうも強く忠告されると、むしろ近づいてはいけない場所なのだと肌で理解する。
『分かった…気をつけます…!』
私が短く返事をすると
「懸命な判断だな」
「行こ、凪」
「じゃあな、転校生」
赤羽くんは見向きもしないまま、桐葉くんはひらりと手を振りながら、校舎の方へ行ってしまった。