【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「春流、連絡は任せる」
「了解」
──早い
迷いなく端的な会話が目の前で行われ、何が起きたのか理解する間も無く叶兎くんは走って教室から出て行った。
「助けを求める人がいたら、どんなに忙しくても疲れてても1番最初に助けに行く、それが赤羽叶兎なんだよ。」
さっきまで会話をするのもだるそうな雰囲気を醸し出してたのに、助けを求められた途端目つきが変わっていた。
これが、赤羽叶兎…
「じゃ、俺も行かなきゃだから」
『あ、うん…!』
春流くんは素早くポケットからスマートフォンを取り出し、画面に素早い手つきで文字を打ち込むと、叶兎くんの後を追うように一目散に廊下へ駆け出していった。
静まり返る教室の中で、私は取り残される。
それにしても……今日は瑠奈ちゃんと心音ちゃん、遅いな……?
ふと、自分の席の周辺を見渡す。
もうすぐホームルームが始まる時間なのに、いつもならとっくに登校して私に話しかけてくれているはずの二人の姿がない。
嫌な予感が、胸の奥でチリッと弾けた。
“女子二人が黒ずくめの男集団に囲まれててっ…!”
……。
…………いや、まさか、ね?
嫌な想像を打ち消したくて、近くにいた報せに来た生徒に駆け寄った。
『あのっ、その女子二人の特徴覚えてる?』
「え?あぁ、確か…大きなリボンにツインテの子と──」
それ、絶対心音ちゃんだ…!!
ということは多分瑠奈ちゃんも一緒にいるはず。