【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
……って、あ。ボール取っちゃった。
やば、どうしよう。
しかも叶兎くん遠っ?!
「さぁーボールを渡してもらおうか!」
「お前言い方悪役っぽいぞ」
「ちょっと言ってみたかった」
目の前には、壁のように立ちはだかる天音くんと、それに冷ややかなツッコミを入れる桐葉くん。
二人とも息一つ乱さず、余裕たっぷりの笑みを浮かべていて、なんだかすごく悔しい……!
『いっけー!叶兎くん!!』
余裕の表情見せられて私の闘争心に割と火がついた。
遠くにいた叶兎くんに向かって全力投球。
「胡桃ナイス!」
力みすぎて思っていた以上にボールが高く上がりすぎてしまい、絶望しかけた瞬間──叶兎くんが持ち前の驚異的なジャンプ力でしなやかに跳躍し、空中で見事にボールをキャッチしてくれた。
そのまま着地し、ゴール目掛けて一気に切り込んでいく叶兎くん。
同時に、ギャラリーからの歓声が一層大きく弾けた。
ゴール直前で叶兎くんが美しいフォームでシュート体制に入り、それを防ごうと天音くんが豪快に跳び上がる。