【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「「わぁぁぁぁ!!」」
天音くんの指先をすり抜けたボールは、綺麗な描線を描いてゴールの真ん中へ吸い込まれていった。
──ピピーッ!
試合終了。あっけないようで、濃密な時間だった。
「胡桃手上げて」
『手?こ、こう?』
シュートを決めた叶兎くんが私の方に駆け寄ってきて、言われるまま右手を上げると、ポンッとハイタッチ。
「ナイスパス」
そう言いながら叶兎くんはニコッと笑った。
……あ、こんなに楽しそうな顔するんだ。
叶兎くんは、生徒会長という立場もあってかいつもどこか緊張感を漂わせている。
天音くんに試合を挑まれた時も最初は面倒くさそうにしてたけど、プレイ中の叶兎くんは、年相応の男の子みたいにずっと楽しそうに見えた。
「叶兎くんかっこいー!お疲れー!」
「朝宮さんもかっこよかったよー!!」
……え?
驚いて振り返ると、さっきまで冷たい視線を向けてきたクラスメイトが、今は笑顔で手を振っていた。
転校早々みんなの気に触る立場になってしまった私はもうみんなと仲良くなれないと思ってた。
けど………そんなこと、ないのかな
まだ、みんなと仲良くなれるかな。