総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



『別に普通の家だと思いますけど…どうしてですか?』


「そっか、じゃあただの気のせいかも!今の話忘れて。」


彼はあっさりとそう言い、柔らかい笑みを浮かべる。


「あと同級生なんだから敬語じゃなくていいよ。呼び方も春流でいいから」


いやいや、そんな簡単に切り替えられないって……。

漂うオーラに気圧されて、自然と敬語になっちゃうんだよ。



しかも初対面で下の名前呼びは、

田舎暮らし出身の私、すでに都会の距離感について行けない。



『えぇ…』

「ほら〜呼んでみて」

『…春流くん…?』

「それでいいよ。転校生って馴染むの大変でしょ?なんかあったら頼っていいから」



……この人、絶対モテるタイプ。


そう確信した直後──



「月城くんおはよ〜!…誰?その子」



女子たちの視線が一斉に突き刺さる。


一緒に教室へ入ったせいで、注目の的になってしまった。

しかもキャリーケースまで持ってくれたせいで、まるで特別扱い。


ありがたいけど……
女子からの刺すような視線が痛い。


友達のいないこの状況で女子に嫌われるのは最悪だ。

だから春流くんには感謝してるけど、必要以上に関わらないほうがいいかも…



必要最低限の距離感で。

できることなら、面倒事は避けたい。



「隣の席だから、よろしくね」



──あ、必要最低限の距離感無理かも。


そんな偶然席が隣とかいう少女漫画みたいなことある?



『…う、うん!ありがとう』



視線を感じながらも渋々席に座った。




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