【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
Whitelove2

夜の街を、二人で






──21時頃。


冷たい夜風が通り抜ける裏門の前で、私は周囲を警戒しながら息を潜めて立っていた。

約束の時間を少し過ぎた頃、ギィ……と鈍く重い金属音を立てて、誰かが外側からそっと扉を開く。


「胡桃、こっち」


門の影からひょっこりと顔を出したのは、叶兎くんだった。

彼は周囲に誰もいないことを確かめると、手招きするように小声で私を呼ぶ。


こんな時間に外出なんて、バレたらどうなることやら…

ここの学園は全寮制で門限は20時、それ以降の外出には事前に申請が必要だ。


外出許可なんてもちろん出していない。

頭ではだめだと分かっていても、不思議と足は迷わず叶兎くんの方へ向かっていた。


「他の人に見られると面倒だから説明は後、とりあえず乗って」


裏門を出た道で待っていたのは、3台のバイク。

天音くんと飛鳥馬くん、桐葉くんと春流くんが1台ずつ二人乗りをしていて…残る1台の前に立っているのは叶兎くん。

……この状況を見る限り、私は叶兎くんの後ろに乗れってことだよね?


『…というか、バイク?!』


学園の厳しい校則で生徒の免許取得は一切禁止されているはずだ。

だからみんながごく当たり前にバイクに乗りこなしている光景自体が、とてつもない衝撃だった。


すでに校則なんて無視されているのは分かっていても……いざ目の当たりにすると、やっぱり動揺を隠せない。


なにより、私自身バイクの後ろなんて人生で一度も乗ったことがない。



「捕まってれば落ちたりしないから早く乗って」

『わ、わかった。失礼しますっ…』



恐る恐る跨り、背中越しに叶兎くんの肩を軽く掴む。

それだけでも背中越しに彼の熱を感じて、体温が一気に上がる気がした。

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