一面の落とし穴

難しい⑥

当日、彼女と約束の場所で待ち合わせをした。

彼女はカジュアルな格好で現れ、体調はいかがですか?と心配してくれた。

僕たちは居酒屋に入るとビール二杯を頼んだ。

彼女は普段と変わらない愛嬌で僕に接してくれた。

彼女と話していると、今まで大切に思ってきたことがそんなに価値のないことのように思えてきた。

気がつくと黒い影は少し威力を落としたように感じた。

なるほど、そういうことだったのか。

黒い影は僕を反映した、つまり僕自身の中にあるものだったのだ。

僕が自分で黒い影を作っていたのだ。

昔何かで読んだことがある。

自分が正義だと思い込むことほど悪はない。

僕は自分が正しいと思ったことを貫いてきたつもりだったが、今になって思えばそれは周囲を困惑させていたかもしれない。

ましてや僕のようにボロボロにさせてしまったこともあるかもしれない。

以前にも話したが、人間主義とはいつかは崩壊する。

ウィルスだって自己存続のために形を変えて生き延びようとしている。

しかし我々はそれを悪と見なしている。

地球にしてみれば我々人間も環境破壊をする悪として見なしているのかもしれない。

地球を守ろうと主張している本人が少なからず地球を崩壊への道へと導いているかもしれない。

平和を唱う人間が戦争を助長させている可能性もある。

正義も悪もあったものだろうか。

正確には完全な正義も悪もないと言った方がわかりやすいのかもしれない。

絶滅危惧種は我々人間に崩壊を教えてくれているのかもしれない。

僕は全てものはいつかはなくなるものだと思う。

あくまでも物と者だ。

誰かが言っていた。

人間は人間に還れと。

全ての事象は我々人間にそれを伝えようとしているのかもしれない。

自己主義こそ恐ろしいものはないのかもしれない。

僕は彼女の着飾らない笑顔がとても好きだ。
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