死んだはずの遠藤くんが教室に居る話
 シャワーを浴びるために静かに下に降りると、驚くことに両親がもう起きていて食卓テーブルに座っていたから「へっ?」と、変な声が出てしまった。

「シャワー浴びる」
 両親を無視して洗面所へ行く途中で、父親が後を追いかけてきた。

「身体は大丈夫か?」
 そう聞かれてうなずいて歯ブラシを手にする。

「お母さんが心配して、何度も息してるか確認してたぞ」
 それ以上は何も聞かれず戻って行ったので、ありがたく感じた。

 シャワーを浴びて早めの朝食を食べようとしていたら、母親の目がソワソワしていた。 昨日の話を聞きたい聞きたい。耳が長くなってるぞ。だから僕は先に軽くジャブを出す。

「母親LINEで話聞いてるんでしょ?どんな内容?」
「うーん」
 父親も新聞から目を離して僕たちの会話を聞いていた。

「亡くなった子のご家族が教室にやってきたので、本人が現れて今回の事件は自分の不注意で事故でした。呪い殺す力はありません。って説明をして消えた。今後は出てこないから保護者会は必要ない、クラスのみんなも安心したので大丈夫……って内容」

 いや本当にバカにできない母親LINE、完璧じゃん。
「おぉ素晴らしい拍手」と、僕がふざけて言うと「そんな簡単な問題なの?」って目を吊り上げて怒っていた。

「そのまま大正解だよ」
 しれっと返事をすると、乱暴に僕の前に朝食を並べる。
 
 もっと複雑で奥が深いけど
 これは僕たちにしかわからない。

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