溺れる遺伝子
ツバサがむかった先はツバサの家だった。
あいかわらず大きい家…

一瞬だけ大きなコンクリートの檻に見えた。

ただいまも言わずに家に入るツバサ。
お正月なのに家には誰もいないらしい。



「ご、ごめんね。お参りしたかったでしょ…?」

「いーよ別に。」

「…ツバサは何をお願いする予定だったの?」


「……受験…」



「え?」

「俺…今年受験生だし…。」



“ヒナのしあわせ”

そういってくれることを、頭の中のどこかで期待してしまっていた。

そっか。やっぱりそうだよね。
私よりも、受験だよね。
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