溺れる遺伝子
「…大丈夫、俺のいうことをちゃんと聞けよ。」

黙って目を大きくあけるヒナの耳元で囁くツバサ。


「…さぁ。着替えるんだ。」

「…はい。」

「“ツバサ様”は?」

「はい…ツバサ様…。」


ツバサが見ている。にらんでいるような目つき。
いや、違う。ツバサは…興奮している。

血走るような目つきがその証拠だ。


「こっちばっかり見てないで、はやく着替えろ。」

「はい…ツバサ様…。」


ツバサは何をしたいのだろう。
…消えてしまいたい。


「下着も取ってね」

「………」




「返事は?」


「……ハイ……ツバササマ……。」
< 159 / 250 >

この作品をシェア

pagetop