貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「その時はその時よ。死ぬのは怖いけど、知り合いが死ぬかもしれないのはもっとつらいわ」

 あんなに病気とは無縁そうなアウグスト夫妻ですら、もうずっと顔を見ていない。

 ひとりまたひとりと減っていくメイドたちを見ていただけに、ナディアは事態を重く受け止めていた。

「私はなにをしたらいい? 指示されなきゃわからないなんて恥ずかしいけど、あなたに従うわ」

「では、陛下のお世話をお願いします。私ではつきっきりの看病ができませんので」

 今、流行り病によって止まり始めた城の仕事の多くをエセルとその部下が代わりに担っている。

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