貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 特効薬の製造や市民への支援など、ナディアが指示を求めたようにエセルが上に立って差配する事柄が多すぎた。

(私で大丈夫? ……なんて言っている場合じゃないわね)

 身体がいくつもあれば、寝込んでいるすべての者たちの看病ができた。

 手がたった二本しかないことを悔やんでも事態は変わらない。

「わかったわ。ゲルハルト様は私に任せて。あなたはほかのみんなをよろしくね」

「ええ。なにかあればすぐにご連絡ください」

 エセルからすべきことを聞くと、ナディアはすぐにゲルハルトの私室へ向かった。

 城の中でもひと際豪華な装いのドアを軽く叩いてみるも、返事はない。

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