貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 キルシュフェラー山脈に自生する植物の種を潰し、氷の中で数年寝かせるとできるものだ。

 ぴりっと辛く舌に鮮烈な刺激を与えるその酒は、フアールでも高価な酒として扱われている。

「いろいろ送りすぎじゃないかしら。きっと運ぶのが大変だわ」

 話している途中だというのに、ゲルハルトはナディアの身体を抱え上げた。

「またそうやって」

 こうして運びたがるのと、甘噛みしたがるのはゲルハルトの癖らしい。

 それをもう理解していたから、ナディアは大きく抵抗しなかった。

 おとなしく運ばれた先はベッドである。

「もう夜も遅い。また明日起きられなくなるぞ」

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