貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「大丈夫よ。だって明日はアウグストが焼き菓子を作ってくれるって言ったもの。絶対に早起きして食べなくちゃ」

 ナディアがゲルハルトの妻になると決まってから、アウグストは今まで以上にせっせと料理に精を出している。

 いずれ行われる結婚式のために、ナディアの好みを細かく調べているらしい。

 食べさせすぎだといつもなら指摘するベスも、こればかりは止めなかった。

 ゲルハルトはナディアをベッドに下ろすと、やわらかな毛布でその身体をくるんだ。

 足まですっぽり覆うやり方には違和感があったが、その理由は最近知った。

「……まだ羊皮紙の匂いがする」

「だってさっきまで手紙を書いていたもの」

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