政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「少しは落ち着いたか」
あの衝撃の出来事から数時間。拓人さんがそばにいてくれていたこともあり、気持ちは大分平穏を取り戻した。
優しい気遣いに、お腹に触れる彼の手に自分の手を重ねる。
「はい、ありがとうございます。もう、だいぶ」
「そうか」
回された腕に無言のまま力がこもる。背中に固い拓人さんの胸が押し当たり、鼓動が大きく音を立てていく。
「茉莉花が落ち着いたのはいいが、俺は未だ怒りが収まらない」
「え……?」
「俺の大切な茉莉花に触れるなんて、許されることじゃない」
隆史さんに迫られ、ローブの中に手を入れられたことを話したからだ。
「脚と言っていたが、どこに触れられたんだ?」
「あ、えっと……」
拓人さんの手が太腿に触れ、外側から内側へと探るように滑る。
反射的に「あっ」と声が出てしまい、自分でも驚いて手で口を押さえた。