政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


「してないんでしょ? 私が満足させてあげるから。私も拓人に抱いてほしい」

「そんな少量の酒で酔っ払ったのか?」


 そっと絡みつく腕を剥がし、距離を置く。それでも早苗はめげずに腕を掴んでくる。


「酔ってなんかない。私は正気よ」

「パートナーがいる人間の発言じゃないと思うが」

「隆史さんだって、あなたの奥さんのことがどうやら気に入ったみたいよ」


 早苗の思わぬ発言に返す言葉を失う。

 この間、食事に招待されたときに目にした光景がフラッシュバックしてきた。

 三栗谷さんが茉莉花に何度も話しかけていたのは目にしていたし、その際に茉莉花の背に触れている瞬間も目撃していた。

 何を話して人の妻に触れていたのか知らないが、それからずっともやもやしているのは否めない。

 気に入ったとは、一体どういうことなのか。

 そもそも、そんなことを早苗が口にする意味がわからない。

 俺に関係を迫ったり、自分の旦那はよその人妻を気に入っていると知っていたり、三栗谷夫婦は関係が破綻しているのか……?

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