政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


 エグゼクティブフロア専用のプールは、楕円を繋げたような不規則な形をした大きなプールが水を湛えていた。

 南国を思わせるデザインで緑も多く、まさに都会のオアシスと言える空間。

 プール周囲にはゆったり過ごせるソファー席なども用意されている。大きなガラス窓からは向こうに夜景も望めた。

 私たち以外に人の姿はなく、しんと静寂に包まれている。


「ホテル内にこんな場所があるなんて、なんかすごいです。今はお客様もちょうどいませんね」

「今晩は貸し切りにしたんだ。だから、誰も入ってこない」

「そうなんですか?」


 プールサイドの席に料理とドリンクを運んだスタッフが「失礼いたします」と立ち去っていくと、広いプールは本当にふたりきりの静かな空間となる。


「茉莉花が泳ぎたければ、すぐに水着も用意させるぞ?」

「えっ、いえ、私は、泳げないので……」


 遠慮する私を拓人さんはフッと笑う。

 冷やされているワインボトルを手に取り、用意されたふたつのグラスに注いでいった。


「泳げないのは初耳だな」


 しゅわしゅわと細かく発砲するスパークリングワインが入ったグラスを私へ差し出し、拓人さんが「乾杯」とグラスを上げる。


「乾杯」

 軽くグラスを重ねるとカチンと綺麗な音が響いた。

< 69 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop