政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「小学生のとき、泳ぎ方が溺れてるみたいって友達にからかわれたことがあって……子どもながらにそれがショックだったんでしょうね。中学高校と水泳の授業が嫌で、理由をつけて休んでいたんです。だから、絶対に泳げないんです」
今思えば、スイミングスクールにでも通わせてもらえばよかったのに、泳ぐことをずっと拒否してきたせいで今はもう取り返しがつかない溺れ泳ぎしかできないはずだ。
「そのくらいのときって、人の些細な言動をやたらと気にする時期だよな。俺にもそういう記憶あるよ」
「拓人さんにもそんなことあるんですか?」
「ああ、あるよ。小学校低学年の頃かな。ドッチボールで投げ方が変って言われて。それで、うちで猛特訓した記憶がある」
過去を振り返って懐かしかったのか、拓人さんはフッと笑ってグラスに口をつけた。
「偉い……そういうところが拓人さんと私の違いですね。私も、いじけてないで練習すればよかった」
「じゃあ、今度俺が特訓してあげようか」
「え、今からでも泳げるようになりますかね?」
「なるだろう。何歳からでも練習すればできないことはない」
なんとなくまたグラスを重ね、互いにワインに口をつける。爽やかな口当たりのスパークリングワインはあっという間にグラスを空にしていた。