迷彩服の恋人 【完全版】
「結花さん、泊めて下さい!」

「ふふっ。“志貴3曹”、(りょう)!状況掌握(しょうあく)!」

志貴さんと結花先輩の間では、あれで会話成立してる!

「助かります!……あっ、土岐から返信きた。"現在地、目的地の最寄り駅"。了…"駆け足!"っと。」

「"駆け足!"は、かわいそうだわ。今日は時間に制限ないんだし、普通に来てもらえばいいのよ?」

「大丈夫。土岐にはさほど負担にならない。アイツなら駅から5分で来るよ。」

「桧原主任、ズルくないですか?主任たちの会話…全然分からないんですけど…。」

「朝香先輩に聞けばいいんじゃない?…どう?(ともえ)?さっきからずっと考えてるけど、分かった?」

「そんなような会話…。どこで見聞きしたんだっけ…。ちょっと待って、思い出す。」

朝香先輩と…花村さんや栗原さんを構いながらも、上手くあしらってもいる結花先輩を傍観していると、5分なんて…あっという間だった。


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「志貴3そ…じゃなかった。志貴さん、桧原さん。遅くなりました…すみません。」

「“土岐陸士長(りくしちょう)”、お疲れ様です。」

――あっ。〝噂の“トキさん”〟が、来られたみたい……。

中崎さんから発せられた言葉につられ、〝視線を向けた先で捉えた人〟を見て…私は息を呑んだ。

えっ、嘘でしょう!?
偶然にしたって、こんなことある!?

まさか…〝トキさん〟が、〝あなた〟だったなんて…!

先ほどから話題になっていた〝トキさん〟は、2週間ほど前に捻挫してしまい困っていた私に手を差し伸べてくれた〝あの人〟で――。
"あの日"の病院内で一緒にいて話していた時のように、なぜか室内でもハンチング帽を被っていた――。
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