国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~

◇ ◇ ◇

「それでは加能(かのう)さん、失礼いたしますね。凌太(りょうた)くん、バイバイ」

家事代行サービスの岩浜(いわはま)さんは一段低い玄関で中腰になり、私の腕の中の凌太に手を振った。『ねこのてサービス』という肉球のマークが入ったオレンジのエプロンは、彼女の会社の目印である。彼女は週二回の契約で、一日三時間の家事をこなしてくれる。
おかげで私は多くの時間を遼太に費やす生活ができている。

お辞儀をして岩浜さんを見送り、凌太とともに静かになったリビングへ戻った。
壁掛け時計へ目をやると、午前十一時を指している。
あともう少しだ。何度でも、この瞬間は胸が弾んでしまう。胸を弾ませてもしかたないと、頭では理解しているのに。
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