国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
眠っているとはいえ凌太が横にいるため、言い合いはしたくない。しかし普通の会話ってどうやるんだったか思い出せず、不自然でぎこちない態度になった。
離婚を決めた夫婦はどうやって過ごせばいいんだろう。
もう触れ合える夜は来ないのに、離れるまでこうして隣で眠らないといけないなんて。

「……玲菜」

こちらを向いて横になっている久嗣は、凌太の頭をなでながら私の名前を呼んだ。

「なに?」
「明日出かけよう。三人で」
「え……いいけど。珍しいね」
「今日ある程度終わらせたから、明日は休みを取った。凌太が楽しめるところに行こう」

私は凌太と久嗣に背を向ける。前にある壁を見つめながら切なくてたまらず、涙をこらえた。
なによ、今更。あなたの仕事はいくらやっても終わることなんてなかったじゃない。どうして今になって凌太との時間を過ごそうなんて言い出すの?

「……わかった」

しかし凌太にとって久嗣は父親で、なついているから断ることはできない。凌太との時間を取り上げようとするのは私のエゴだろうし、ルール違反だ。

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