国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~

半年が経つと英語での勉強にさほど不自由がなくなったが、歯がゆさがゼロになったわけではない。ストレスに慣れたという方が正しいだろうか。
どこかで発散しなければコンディションを保てないため、夜は外を歩くようになった。しかしどこを歩こうと、酔いそうな人の流れと絶対にのることのない無駄な誘いが邪魔をしてくる。
決まって、ひとりになれるシネマが息抜きの定番となっていた。

ラブロマンスに興味はない。だが今はそれしかやっていなかった。自分に関わりのないストーリーを流し見しながら、ぼんやりと考える。
おそらく問題なく卒業でき、ニューヨークの弁護士資格も取れるだろう。ただしトップの成績でという条件がついているから難易度が上がっている。それに従うことはないのだが、俺もどこか意地になっている。

司法試験の勉強を始めた大学時代から今までまともな恋愛をしていなかった。自分を優先してほしいと考える恋人の相手をうまくできず、放置した結果消滅する関係ばかりだったのだ。
俺にはしばらく、縁はない。ラブロマンスを見ながらそう思った。
< 61 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop