クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜






「チカ。起きろ。」

「!」

ハッと開けた視界には

ガヤガヤと制服姿ではしゃぐ生徒達、

窓の奥の眩しい夏の空と、

…カベ。



「よく寝てたな」

カベがメガネを直して、グレーがかった色素の薄い目で俺を見下ろしてる。

「あー…やばい。日本史の記憶ないわ」

「働きすぎなんじゃない?週5だろ。」

「大丈夫。扶養内。」

ピースするとペシッとはたかれた。

「そういう問題じゃねーよ。…あんま無理すんなよ。チカの悪い癖。今日はどうする?昼休み。」

「いつもんとこで。」

「おっけ、みんなに言っとく。」

「んー」

俺の適当な返事を聞いて、カベは俺から一番遠い、窓際一番後ろの角に向かう。




んー…

遠いな。 

めちゃくちゃ遠い。
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