クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
私は頷いて、逢和君を背にして歩きながら、シャーペンをもう一度眺める。

肉眼でギリギリ見える小さな傷や、指が当たる部分の擦れたロゴ。

逢和君が中学から使ってきたもの。

逢和君の匂いや体温がするような気がして、手の中の小さなシャーペンに胸がときめいた。


私って単純かもしれない。

これまで感じてたモヤモヤがどうでもよくなっちゃってる。

宝物にしよう…!



「寧々」



逢和君に名前を呼ばれて、緩んだ顔で振り返る。


私のシャーペンを持った逢和君が、天使の笑顔で言った。

















「好きだよ」
















それはまるで

今日はいい天気だねって言うくらいの気軽さで

まさか自分に向けられたなんて思いもしないその言葉は

意味を理解するのに相当な時間が必要で


「………え?」

「クシュン!…じゃあ、また。」


逢和君はなんでもない顔で鼻を啜って、教室へは遠回りとなる渡り廊下へと軽い足取りで小走りしていった。





そこに残された私は、一人になってようやく意味を理解し始めて、


「~~~!?」


どうしようもなく熱くなっていく顔を覆ってその場に一人、ずっとずっと、しゃがみこんでいた。

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