クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
ぐ、と手に力を込めて、沸き立つ気持ちに蓋をする。

私は頬をパチン!と叩いて図書室の扉に手をかけた。



開けると、ひんやりとした空気と本たちの匂い。

今日も図書室には人気がない。

夏休み前を思い出して、出そうになる涙をなんとか引っ込めて、大きく深呼吸した。



…うん。切り替え、切り替え。

今日は西洋文学のコーナーを見てみよう。



私は壁に貼ってあるマップで場所を確認して、西洋文学のコーナーを目指す。

大きな窓いっぱいに青い青い空が広がっている。

蝉たちが元気いっぱいに鳴く音が窓を越えて聞こえてくる。

まだ夏は終わってないって言ってるみたいだ。



でも昨日、8月が終わった。

夏が、終わった。

そして私はまだ、7月の逢和君に引きずられている。


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