クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
私もゆっくりカベ君の隣に行って本を見る。

一巻のGod's mischiefと本の造りは同じで、色だけが違う。

一巻は赤だったけど、この本は青だ。


「…開けるよ」


カベ君がゴク、と喉を鳴らしてから本を開いた。

一巻同様、全編英語だけどあまり難しい言い回しがなくて、私レベルの英語力でもなんとか読める。


カベ君がペラペラとページをめくっていって、あるページで手を止めた。

そして、ページの一番下の英文をなぞって、和訳しながら読み上げる。


「……ヒューイは、サラに…3回目の接触をした…、…ヒューイは…最後にサラを抱きしめて幸せだった……」




カベ君が消え入りそうな声で言った。




「...And Huey is...dead...」






…dead?






「ヒューイは…死んだ……?」






カベ君が目を大きく見開いて私と目を合わせる。



「サラに触って3回目で…ヒューイが死んだって…」





心臓の音が、ドクドクと全身を揺さぶる。

喉がカラカラに乾いて、息の仕方がわからなくなる。










今まで逢和君に、何回触った?






窓の外の蝉がひときわ大きく鳴き始めて

ヒヤリと冷たくなった私の指先に

汗がぽたりと滴った。
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