クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
***




「おーい。寧々(ネネ)ー?」

「…」

「せーせーらーぎーねーねーさーーーん」

「…」

「………わっ!」

「わぁ!?」


突然耳元で花乃(カノ)ちゃんの声がして、私は椅子から飛び上がった。

その反動で手に持っていたお箸を落としてしまう。


「びっ、びび、ビックリしたよ、花乃ちゃん…!」


私の親友、頼堂 花乃(ライドウ カノ)ちゃんがスラッと長い手を伸ばしてお箸を拾ってくれる。


「だって寧々、ぜーんぜん返事しないんだもん。」

「あ…ごめん。ありがとう。」

私は上の空で花乃ちゃんからお箸を受け取る。

「…近海 逢和(チカミ アオ)、職員室から帰ってこないね。」

「え!?」

考えてることを見事に当てられて目を丸くする私に、花乃ちゃんが「何年親友やってると思ってんの」と女優さんみたいに整った顔で片側の口角を上げる。
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