クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「…あっ、そうだ!ね、ね、姫ちゃんは好きな人いる…!?」

我ながら素晴らしい話の切り替え方だ!

「好きな人?んー、いないな。」

姫ちゃんは撮った写真を確認しながらクールに言う。

…あ、やっぱり私変な顔してる…

「…えっと、じゃあ、気になる人は!?」

「いないねぇ。今はバレーが楽しくてあんまり恋愛の方にエネルギー割きたくないかも。」

「そっか…」

キヤ君を探してみると、怖がる木村君を肩車してカラカラ笑ってる。

キヤ君…!
そんなことしてる場合じゃないよ!キヤ君!

私の視線に気付いた姫ちゃんが、「あー、木村、キヤに気に入られちゃったね」と呟いた。

「キヤ君て、誰かと仲良くなるの早いよね。昔から?」

お昼ご飯の時に木村君にお弁当を分けてもらって、お前いいやつだな!?と目を輝かせるキヤくんを思い出す。

「うん。キヤはなんかくれる人みんな好きになっちゃうから。私なんて幼稚園の時その辺で拾った小石あげただけで目を輝かせて『ヒメちゃんすきー!』て言ってたからね。」

「そうなんだ…」

キヤ君、そんな前から姫ちゃんのことを…

「ん、もうそろそろ行かなきゃか。あっという間だねー」

「あ、私トイレ行ってくる!」

「おっけー。私あそこのおバカたちに声かけてくる。」

「はーい」

姫ちゃんが「おーいキヤー!」と声をかけた時のキヤ君の顔を内心ニヤニヤしながら見て、私は展望台の端にあるトイレに向かった。
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