クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
突然のことに頭が真っ白になる。


「ご…めん…」


震えて、でも、力強く私を胸に閉じ込める逢和君のか細い声が私の耳を掠めた。

そして、それは一瞬の出来事で

逢和君は、だらん、と脱力した。



まるでドラマのワンシーンみたいにスローモーションで

逢和君は、力なく倒れた。



「…ッ、あ…っ、逢和君…!!」



私はかつてない近さにいる逢和君を、かつてない大きな声で呼んだ。

人形みたいに生気が無くなった逢和君の身体には、おびただしい数の湿疹があって

私はひゅっと息を飲む。



木村君の「…気持ち悪…」という声と

部屋に入ってきて驚いた先生の声や廊下の生徒たちの声が

水の中みたいに遠くぼやけて聞こえる



「ッ…、」



逢和君…

どうして?

どうして私に抱きついたりなんか…



逢和君、起きて、教えて

逢和君

逢和君…!



涙を流しながら、心の中で必死に呼びかけるしかできない私に

逢和君が目をあけて応えることは

決して、無かった。
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