チューリップラブ






「最高のディナーだね。ありがとう、玲央。いただきます」

もうさんざん野菜スティックはつまみ食いしていた乃愛が手を合わせてからスプーンを手にする。

「レトルトだけどな…いただきます」
「レトルト万歳でしょ?上手に使わないと生きていけない」

俺も乃愛も料理よりも時間を掛けたいものがずっとあったから、家での料理はこの程度だ。

「美味しいっ。多めのチーズが…最強だわ」

熱そうにしながらも美味しいと食べる乃愛を見ながら視界の隅にチューリップが映る。チーズより最強の組み合わせだな…乃愛とチューリップ。

「明日から昼間少し店を閉めるから。もし電話とか出なくても心配しないで」
「わかった。昼休憩に閉めるのか?」
「ううん。足掻くのよ、ふふっ…それ以上は内緒」
「ん、そういう時の乃愛が最高に綺麗だよな…どんな報告でも気長に待つことにする」
「うん、待ってて」

わざわざ閉めるということは、土日では出来ないことをするんだろうがそれも聞かなかった。結果はどうであれ、こういう時の乃愛は生き生きとしているからそれだけでいいと思える。
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