チューリップラブ






19時ごろに二人の腹の虫が鳴くまで愛し合ったあと、乃愛はバスルームで自分のシャンプー等を満足そうに使う。先に洗い終えた俺は

「乃愛はゆっくりな」

そう言い何を食うか考えながらバスルームを出る。濡れた体を拭きながらベッドルームへ行くと、半袖では寒いかと長袖のTシャツを手にして洗面所に戻る。乃愛に分かるようバスタオルの上にそれを置き自分も部屋着を着ると、すぐキッチンへ入った。

レトルトカレーを温めつつ、それでは乃愛が可哀想だと耐熱皿を出す。そして白米を敷き詰めカレーをかけると、その上にたっぷりとチーズをかけてオーブンで焼いた。焼く間、人参をスティック状にカットし1本食べてみる。これくらいなら湯をくぐらせないまま生でいけるな。乃愛も海外生活が長いので平気なはずだ。続けてきゅうりとセロリもスティック状にカットして冷蔵庫から市販のディップを取り出した。

それをテーブルへ運びスプーンとグラスを出すとオーブンが止まる。一度扉を開け中を覗くともう少し焼き色をつけることにした。

「ただいま、玲央。いい匂い…カレー?」
「ドリア」
「やったぁー」

そう言いながら乃愛は立ったままセロリを何もつけずにポリポリと食べる。

「食べるのはいいが髪乾かして来いよ」
「もう腹ペコ。自然乾燥決定なの」
「ふっ…そうか。水でいいのか?」
「うん。自分で出すよ」

彼女は冷蔵庫から水をテーブルに運んで

「チューリップ、よく水が上がったね」

昼間とは顔の向きを変えたチューリップを嬉しそうに眺めた。
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